Op.43 音大物語③天使のフルーティスト【♪】

2019年12月04日

ピアノ科には、
◎ひたすらピアノを深く追求し練習する孤独派と
◎他の楽器の伴奏を喜んで引き受けるアンサンブル派 とがいます。
楽器の中で ピアノは一人で演奏できますが、他の楽器は伴奏者が必要です。(ソロの曲もありますが)
授業の中にある専攻楽器のレッスンには伴奏者も一緒に着いていきます。


私は後者のタイプでしたから、常に声楽・フルート・ヴァイオリン・打楽器と、4つの伴奏者を楽しく引き受けていました。


その中でも特に天才肌だった渡辺君との 音楽の魔法にかかってしまった日の話をします。


私は学校内の寮に2年間住んでいました。土日は外出してしまう人が多かったので 練習室がガラガラでした。それをねらって朝の9時約束で、渡辺君とよく練習をしました。まじめにやるわけではなく、何十冊と持ってきてくれた楽譜を端から弾いて初見で合わせて楽器で遊ぶのです。

それはそれは楽しくて朝の9時からお昼だけ中断してずーーーっと合わせっぱなしでした。


コンコン!


練習室の戸を叩く音で我にかえると あたりは真っ暗、もう練習室を閉める時間ですよと守衛さんが回ってきた音でした。


時計を見たら夜の9時。

夕飯も食べるの忘れて弾いていたのでした。寮の食堂はたしかpm8時まで。その日はどうしたんだっけな、記憶にありませんが、
そのくらい楽しく合わせた日がありました。


集中力がなくピアノを弾いても30分と座っていられない私が、この日はビデオの早送りされたかのような1日でした。


卒業してお互い別々の人生を歩みながらも、子育てが終わったらいつか一緒にコンサートをしたいなと思っていたのに、25年前の12月3日、事故であの世に逝ってしまわれました。
いーち にっ さーん!て逝っちゃった、渡辺君らしいなあと思ったので、毎年この日が来ると思い出します。

今は天国でフルート吹いてみんなを楽しませていることでしょう。

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